■神奈川県博物館協会災害時相互救済活動要綱(案)

 

奈川県博物館協会災害時相互救済活動要綱(案)

 

1 目的
本活動は、広域災害等がおこった際に、各加盟館園が相互に救済しあい、博物館資料を次世代に継承し、より速やかに博物館活動が復旧するよう資することを目的とする。具体的には、被災資料の救済と保存安定化、博物館施設等の復旧等の支援を行うものである。

2 対象
神奈川県博物館協会に加盟する館園、ならびにその所蔵資料と施設等とする。

3 体制
本活動は、加盟館園すべてが協力し、参加するものとする。その効率化を図るべく、県内を地域ごとに分割し、その地域ブロック内で情報の収集や発信等を図るものとする。
(1)地域ブロック
地理的な特性や館園の数などを考慮し、ブロックを定める。その選定については、隔年ごとの基礎アンケートの集計時に行うものとする。
(2)幹事館園
ブロックごとの情報収集と発信を担う幹事館園を定める。幹事館園に不測の事態が生じた場合を考慮し、その補佐館園も選定する。その選定については、隔年ごとの基礎アンケートの集計時に行うものとする。
(3)代表幹事館
全ブロックの幹事館をとりまとめる代表幹事館園を、会長と事務局のある館園とする。同館が被災あるいは不測の事態が生じた場合、他の幹事館が互選により、その代理をつとめるものとする。

4 救済活動
具体的な救済活動は、次の通りとする。
(1)災害の発生時
加盟館園は、次の各号に該当する災害等が発生した場合、被災状況を事務局ならびに幹事館園へ情報を提供するものとする。被災が推定される館園が存在する場合、そのブロック内の幹事館は情報をとりまとめ、事務局に情報を提供するものとする。
①震度5弱以上の地震が発生した場合

②集中豪雨等による水害が発生した場合
③その他、甚大な被害を伴う災害等が発生した場合
(2)救済活動の決定
事務局は収集した情報を会長へ報告する。その報告によって、会長は救済活動の是非を決定するものとする。会長に事故あるときは、副会長または役員が決定するものとする。
(3)一次救済(資料の救済計画の立案等)
本活動における一次救済とは、被災館園の情報収集、それに伴う救済計画の決定、緊急の現場作業等を行うものとする。なお、被災し劣化が激しい資料、あるいは今後現状では確実に劣化の恐れのある資料について現場の判断により、緊急避難させる可能性もある。また、資料や人命に危機を与える恐れのある博物館施設等の復旧もここに含める。
①総合対策本部の設置
代表幹事館に総合対策本部を設置し、次の業務を行う。総合対策本部の要員は、会長が選定する。なお、事務局は総合対策本部の一部として、その事務等を行うものとする。
ⅰ 救済活動開始の連絡
ⅱ 実施計画の策定
ⅲ 要員及び機材などの手配
ⅳ 現地対策本部への指示と支援
ⅴ 自治体、外部団体等との連絡調整
②現地対策本部の設置
被災地域の幹事館園に現地対策本部を設置する。当該館園に事故あるときは、補佐館園がその任をつとめるものとする。また当該ブロック全域が被災し、その幹事館園が務めを果たせない場合、近隣ブロックの幹事館園に現地対策本部を設置するものとする。
ⅰ 救済要員等に対する実施計画の説明
ⅱ 要員、機材などの受入
ⅲ 現場作業の指示
ⅳ 総合対策本部等との連絡調整
(4)二次救済(資料の修復保管等)
本活動における二次救済では、被災した資料、あるいは被災する恐れのある資料の保管や修復を行うものとする。また、速やかな博物館運営が再開することを目的とした施設等の復旧もここに含める。
①総合対策本部の業務
ⅰ 実施計画の策定
ⅱ 要員及び機材などの手配
ⅲ 現地対策本部への指示と支援
ⅳ 自治体、外部団体等との連絡調整
②現地対策本部の業務
ⅰ 救済要員等に対する実施計画の説明
ⅱ 要員、機材などの受入
ⅲ 現場作業の指示
ⅳ 総合対策本部他等との連絡調整
(5)救済完了
以下の確認活動を以て、救済活動が完了したものとする。またその完了を以て、総合対策本部並びに現地対策本部は解散するものとする。
①総合対策本部が現地対策本部から作業等完了の報告をうけ、了承すること
②事業完了について、関係する外部組織・団体等に報告、周知すること

5 平時の活動
被災時に備え、次の活動を行うものとする。
(1)連絡網の作成とその年次更新
(2)加盟館園基礎データ収集のためのアンケート(隔年)の実施
(3)防災訓練
(4)災害対策に資する研修会
(5)その他本活動に資する事業

6 資金
本活動に要する経費は、神奈川県博物館協会が準備する災害対策積立金を充てる。

7 事務局
本救済活動に関する事務は、協会事務局が兼務する。また、平時の活動に関する事業全般は合同部会機能部会が企画し、実施するものとする。

8 その他
この要綱に定めのない事項については、会長が別に定めるところによるものとする。

 

 

災害発生時のフロー


災害の発生


・事務局等による情報収集作業の開始
・被災館園からブロック幹事館園および事務局への情報伝達、あるいは近隣館園による情報収集
・事務局への第一報
・事務局より、会長(役員会)への報告
・会長(役員会)による救済の必要性の判断
・外部関係機関等への情報提供と調整


一次救済
・総合対策本部、現地対策本部の設置(情報収集と伝達は継続)


・一次救済計画の立案
・計画に基づく実施
人員派遣 派遣可能な加盟館園職員の把握、
依頼状の作成・送付(後日、報告書の提出に基づき旅費の支給)
物資提供 提供可能な物資、必要物資の把握、
輸送計画の立案と実施(輸送を担う派遣職員への依頼事務)、物資提供に伴う事務処理
資金提供 被害状況程度による提供資金額の決定、物資充当型か資金提出型の選択、支出に伴う事務処理
・緊急性を伴う資料救出と一次保管 
・現地対策本部より、一次救済計画の実施完了の報告
・総合対策本部より、外部関係機関等への情報提供


二次救済
・一次救済修了段階の情報の把握
・二次救済計画の立案(資料修復、設備機器類の簡易復旧など)
・計画に基づく実施(人員の派遣、物資の提供、資金の提供など)
・現地対策本部より、二次救済計画の実施完了の報告
・総合対策本部より、自治体等への専門的な立場からの助言の提供、ならびに外部団体等との連絡調整


救済完了
・被災館園等への資料の引き渡し、設備機器類の簡易普及の確認など
・総合対策本部から会長(役員会)への事業完了報告


 

 

 

 文化財保護法とは?

文化財保護法は、政令によって定められた法律です。その中、第2条第1項において「文化財」とは歴史上・芸術上・考古上・観賞上・学術上、どのように価値の高いものかを、以下の分類にて規定しています。そして、文部科学大臣は文化財のうち重要なものを「重要文化財」として指定、認定、選定、登録、選択するのです。ただし、その指定や解除は、文化審議会に諮問することが前提となります。

 ○有形文化財
(建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書、その他の有形)
○無形文化財
(演劇、音楽、工芸技術その他の無形)
○民俗文化財
(食住、生業、信仰、風俗慣習、民俗芸能、民俗技術など)
○記念物
(貝塚、古墳、都城跡、旧宅、庭園、名勝地、動物、植物、鉱物など)
○文化的景観
(人々の生活、地域の風土により形成された景観地)
○伝統的建造物群
(歴史的風致を形成している伝統的な建造物群)

 

 文化財保護法(抜粋)

第1条 この法律は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的とする。

第2条 この法律で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

1.建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)

2.演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所在で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

3.衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

4.貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋梁、峡谷、海浜、山岳その他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)

5.地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(以下「文化的景観」という。)

6.周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)

《改正》平16法061

2 この法律の規定(第27条から第29条まで、第37条、第55条第1項第4号、第153条第1項第1号、第165条、第171条及び附則第3条の規定を除く。)中「重要文化財」には、国宝を含むものとする。

《改正》平16法061

3 この法律の規定(第109条、第110条、第112条、第122条、第131条第1項第4号、第153条第1項第7号及び第8号、第165条並びに第171条の規定を除く。)中「史跡名勝天然記念物」には、特別史跡名勝天然記念物を含むものとする。

第153条
文部科学大臣は、次に掲げる事項については、あらかじめ、文化審議会に諮問しなければならない。
一 国宝又は重要文化財の指定及びその指定の解除
二 登録有形文化財の登録及びその登録の抹消(第五十九条第一項又は第二項の規定による登録の抹消を除く。)
三 重要無形文化財の指定及びその指定の解除
四 重要無形文化財の保持者又は保持団体の認定及びその認定の解除
五 重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財の指定及びその指定の解除
六 登録有形民俗文化財の登録及びその登録の抹消(第九十条第三項で準用する第五十九条第一項又は第二項の規定による登録の抹消を除く。)
七 特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物の指定及びその指定の解除
八 史跡名勝天然記念物の仮指定の解除
九 登録記念物の登録及びその登録の抹消(第百三十三条で準用する第五十九条第一項又は第二項の規定による登録の抹消を除く。)
十 重要文化的景観の選定及びその選定の解除
十一 重要伝統的建造物群保存地区の選定及びその選定の解除
十二 選定保存技術の選定及びその選定の解除
十三 選定保存技術の保持者又は保存団体の認定及びその認定の解除
2 文化庁長官は、次に掲げる事項については、あらかじめ、文化審議会に諮問しなければならない。
一 重要文化財の管理又は国宝の修理に関する命令
二 文化庁長官による国宝の修理又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置の施行
三 重要文化財の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可
四 重要文化財の環境保全のための制限若しくは禁止又は必要な施設の命令
五 国による重要文化財の買取り
六 重要無形文化財以外の無形文化財のうち文化庁長官が記録を作成すべきもの又は記録の作成等につき補助すべきものの選択
七 重要有形民俗文化財の管理に関する命令
八 重要有形民俗文化財の買取り
九 重要無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち文化庁長官が記録を作成すべきもの又は記録の作成等につき補助すべきものの選択
十 遺跡の現状変更となる行為についての停止命令又は禁止命令の期間の延長
十一 文化庁長官による埋蔵文化財の調査のための発掘の施行
十二 史跡名勝天然記念物の管理又は特別史跡名勝天然記念物の復旧に関する命令
十三 文化庁長官による特別史跡名勝天然記念物の復旧又は滅失、き損、衰亡若しくは盗難の防止の措置の施行
十四 史跡名勝天然記念物の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為の許可
十五 史跡名勝天然記念物の環境保全のための制限若しくは禁止又は必要な施設の命令
十六 史跡名勝天然記念物の現状変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の許可を受けず、若しくはその許可の条件に従わない場合又は史跡名勝天然記念物の環境保全のための制限若しくは禁止に違反した場合の原状回復の命令
十七 重要文化的景観の管理に関する命令
十八 第百八十四条第一項の政令(同項第二号に掲げる事務に係るものに限る。)の制定又は改廃の立案

 

 

 

 

 

ページトップへ


Copyright 神奈川県博物館協会 All Rights Reserved